乾為天(けんいてん)とは?
天が二つ重なった卦がこの乾為天(けんいてん)です。宇宙の創造のエネルギーを象徴します。
天気の良い日の夜に、空を見上げると数多の星々が見えますね。あの星屑の中にあるのと同じものが、私たち一人ひとりをつくっています。あの創造の力が、あの拡張の力が私たちの中にあるのです。乾為天(けんいてん)の卦をいただいたときは、そんなことを思い出してみるのもいいかもしれません。
乾(けん)は元(おお)いに亨(とお)る。貞(てい)に利(り)あり。
乾のとき、願い事は願ってもみなかったほどに叶う。道にかなっており大変よい。
乾為天(けんいてん)は、易経の最初に置かれた卦で、宇宙の根源的な力、創造の源を象徴します。暗闇を鋭く照らす太陽のような、パワフルで力強い卦です。
易経は、龍の成長物語としてこの卦を表しています。まさしく龍が天に上るような勢いと力強さがあるときです。
もしあなたが何かを始めようとしたときにこの卦に出会ったら、創造性を大いに発揮することで、願ってもないほどの素晴らしい結果を手にするでしょう。
あなたの心の中にまかれた創造の種が、光を得て、そこから世界が生まれていくときなのです。
また、太陽が永遠に休むことなく光を放ち続けるように、不眠不休で何かに取り組みたくなるようなときでもあります。
天が味方するときですから、ぜひ思う存分に取り組んでください。
乾為天(けんいてん)全体の恋愛運
パワフルで大きな愛があなたの背中をぐんぐんと押すようなとき。もし彼のことを占ってこの卦がでたら、その方は男性的なスケールの大きな愛にあふれた方で、立派な君子になる素質があります。ぜひ応援して差し上げてください。彼を本物の男にするのです。
二人の相性を占って出た場合でも、「元(おお)いに亨(とお)る」ですから、何の心配もいらないでしょう。くよくよ悩むのは時間の無駄です。曇りなく彼を信頼し応援する。その晴れ晴れとした想いが二人の関係をさらに成熟したものへと成長させてくれます。
乾為天(けんいてん)初爻の恋愛運
潜龍(せんりゅう)、用(もち)うる勿(なか)れ。
乾為天(けんいてん)は才能と創造性を発揮するとき。初爻はそのスタートで、素晴らしい才能があったとしてもまだお母様のお腹の中にいる状態です。たとえ見た目は大人でも、精神的には臍の緒でお母様と繋がっていて、血や肉を分けてもらっています。龍なのに自分でその自覚がないのかも。何をするにもお母様の意見を聞かないと始めることができず、決定権が自分になく、交友関係までお母様の言いなりです。お母様が世界のすべてであり、そこから出ることができないでいるのです。そんな彼と恋愛や結婚をして幸せになるのは、ほとんどの全ての人にとって難しいことでしょう。
乾為天(けんいてん)二爻の恋愛運
見龍(けんりゅう)田(でん)にあり。大人(たいじん)を見るに利あり。
乾為天(けんいてん)はクリエイティビティを発揮して吉。二爻は、才能ある人が世の中にデビューしたところです。どうやら臍の緒(へそのお)時代は脱している方のようです。初爻と違って、血や肉は分けてもらっていないでしょう。とは言え、まだまだその影響力から抜け出ていない様子。そうですね、「ママのおっぱいしゃぶってな」というところでしょうか。彼が本物の大人の男かどうか、あなたの応援に値する男か、しっかりその目で見てくださいね。男の人というのはすぐにママのところに帰りたがりますから。しっかり見ていればすぐわかりますよ。
乾為天(けんいてん)三爻の恋愛運
君子終日(しゅうじつ)乾乾(けんけん)。夕べに惕若(てきじゃく)たれば、厲(あやう)けれども咎(とが)なし。
乾為天(けんいてん)は創造のエネルギー。三爻は「朝も夜もないほどに仕事に夢中になっている。しかし、夕方になって我が身を省みる素直さを持てれば、危うい状況であっても責められるようなことにはならない」とありまして。これは君子へのメッセージなのですね。ですから、女性のあなたは彼がこういう状況にあることを理解して「がんばってるね!」と声をかけてあげるのがいいかもしれません。でも、放っておかれると「私のこと嫌いになったのかな?」と心配になることもありますね。その不安はきちんと彼に伝えて咎なし。あなたからデートに誘うもよし。
乾為天(けんいてん)四爻の恋愛運
或(ある)いは躍(おど)りて淵(ふち)に在り。咎(とが)なし。
乾為天(けんいてん)は龍の成長物語。四爻は、龍が今まさに飛び立とうとして崖っぷちに立っているところです。しかし、飛ぼうか飛ぶまいか、今飛ぶのか、それとも後にしようか決心がつかずためらっています。龍なので飛ぶ能力があることは間違いないのですが、今ひとつ踏ん切りがつかないようです。何だか曖昧ではっきりしないモヤモヤした態度の彼には、「男を見せろ!」とちょっと強めに出てみるのもいいかもしれません。こういう、ここぞという場面で飛び立てない男性はその後もれなく「こどおじ(子ども部屋おじさん)」へと成長します。あなたの態度が彼の命運を分けるとき。
乾為天(けんいてん)五爻の恋愛運
飛龍(ひりゅう)、天にあり。
乾為天(けんいてん)は才気あふれる君子。五爻は、堂々空を飛ぶ龍です。四爻では淵(ふち)にありましたが、意を決して飛び立ったのですね。二人で龍の背中に乗って天空の城に上り、そこからダイヤモンドを散りばめたような夜景を見渡して「いい眺めだ~!」と喜びを分かち合うような、そんな感動の瞬間が訪れるでしょう。ちょうどQueenの「Don’t Stop Me Now」みたいな感じですね。誰も二人を止められない^^大きな仕事が完成に向かうときです。
乾為天(けんいてん)上爻の恋愛運
亢龍(こうりゅう)悔(くい)あり。
乾為天(けんいてん)は創造のエネルギー。上爻は「亢龍(こうりゅう)悔(くい)あり」とあります。これはバイアグラで自分を奮い立たせて「どうだ!俺はまだいけるぞ!」と虚勢を張っているといったところです。残念ながら往時の勢いはもうありません。肉体は必ず衰えます。40になっても50になっても老いを受け入れられない人はそのことで苦しみます。そんな男性も見た目はどうあれ、結局「こどおじ」です。飛龍になり損ねた男の人です。女性もシワとりパックやヒアルロン酸の注入にいそしんで「子どもおばさん」になります。みっともないことこの上もないですね。物質的ではないものの価値を知るべきときにあたってそれに失敗しているのは恥ずかしいこと。
乾為天(けんいてん)まとめ
最近あちこちに行っていろいろな人に会って感じるのは「大人の男」が少なくなったなということです。
まあ、豊かな世の中ですから、わざわざ大人にならなくてもそこそこ楽しく暮らしていけます。実際、そこそこお金持ちの男性なら掃いて捨てるほどいる世の中です。
だからこそここぞという場面では「男を見せろ!」と鼓舞することが必要になってきます。
とはいえ、男性を本当の意味で鼓舞することができるのは、精神的に成熟した女性だけです。
精神的に未熟な女性はいざという場面で「あなたそんなことして大丈夫なの?」と男性の足を引っ張ります。
男性を鼓舞するのは、男性が幼いうちは母親が主にその役目を負いますが、徐々に親離れして独り立ちしていくと、自分で自分を励ますことができるようになっていきます。そしていつか自分を応援してくれる女性を見つけて、伴侶として迎え入れます。
いつまでも親の影響下から抜け出せない人、親の価値観を自分の価値観と勘違いしている人、血と肉を分けてくれる母親の応援がないと行動できない人は、年齢をどれだけ重ねていても子どもです。とっつぁん坊やです。
いざというときには何の頼りにもなりませんし、この先大きな仕事を完成させることもありません。一生うやむやな態度を取り続けます。
そのような男性を応援することはおそらく時間の無駄になるでしょう。(つまり、年中彼の不甲斐なさにイライラしながら過ごすということです)
そして、大人の男に出会いたかったら、まず自分が大人の女になることです。
でも自立した大人の女になるのは大変だから嫌だという女性もいるかもしれません。その場合はそのまま「こどおじ」かとっつぁん坊やで我慢するしかないですね。
男女ともに大成するのは骨の折れる大仕事だということです。
▼この卦の解説を書くに当たって参考にした曲:Don’t Let Me Down/The Beatles